複式簿記ってどこで知るの?
一般の人は簿記と聞くとなにそれ?となる人がほとんどだと思います。
大学が理系の人と文系の商学部、経済学部以外の人にとって全く触れてこなかった代物です。
現在では会計士と税理士しかその専門家はおらず、一般の人には検定試験レベルでしか
普及していません。
商業高校、文系の大学(経済、商)に入るしか触れる機会がないのが現状です。
そこで、簡単においたちを説明したいと思います。
複式簿記の歴史
複式簿記は中世ヨーロッパ(13~15世紀)のヴェニスの商人たちの間で
発明されて広まったものでイタリアの商人、ルカ・パチョーリによって著された
「スムマ大全、(1494年)」にて発表されました。
複式簿記は人類の発明した偉大な発明のひとつとされています。
そして当時中世ヨーロッパ、ルネッサンス期に世界3大発明として
火薬、羅針盤、活版印刷の技術が広がります。
それまで本というのは人の手で書き写して作られるので超高級品でした。
それが活版印刷術によって大量生産できるようになるとスムマ大全は
物凄い勢いでヨーロッパ、および世界中に広がっていきました。
ヨーロッパの商売の形態としては貿易業がさかんでしたが、一回ごとに商船の
利益を清算して終わらせるのが常でした。
しかし、イギリスが3大発明のひとつ、羅針盤によって世界中を自由に航海し、
植民地を作り、継続的な商船の派遣を繰り返すようになると、
貿易は1回こっきりではすまなくなりました。
そこで彼らは東インド会社を設立します。現在でいう株式会社の元を作ったのです。
つまり、商売は継続企業(ゴーイング・コンサーン)として永続的に続く
という仮定のもとに複式簿記を組み合わせたのです。
日本にも簿記の知識が到達する
幕末期、江戸幕府は使節団をアメリカに派遣します。その中に福沢諭吉がおり、
彼は帰国後、「帳合之法、(1873年)」を著し初めて日本に複式簿記を紹介します。
彼は英語と日本語の単語帳も作成し発表しています。
この時、bookkeepingを簿記と当て字したと言われています。
日本にはヨーロッパからアメリカ伝って最後に到達し明治政府が正式に採用します。
現在の日本における複式簿記とパソコンの融合
パソコンソフトウェアは0と1(ゼロとイチ)
を組み合わせてプログラミングされています。つまり2進法です。
複式簿記も貸借の2つで科目を区分しています。
さらに数字で記帳をしていくシステムが上手く合致したことによって
パソコンソフトと複式簿記は物凄く相性のよいものとなっています。
今では人間が作業するよりはるかに正確に記帳をし、
完璧に仕上げることが可能となっています。
しかしいくらパソコンが正確といっても、複式簿記の概念をきちんと
理解していないとどこが合っていてどこが間違っているか
がわかりません。それを判断するのが税理士の仕事になっています。
まとめ
こうしてみると、税理士は中世ヨーロッパのギルドの職人のような存在とわかります。
航海をする船長、植民地を管理する提督、資金を提供する王様に対して、
収支を報告する人に該当するわけです。
複式簿記は当初そこまでの発展が予想されていませんでした。
単に一回づつの航海を清算するときに使っていたどんぶり勘定の単式簿記
より便利だとされ導入されたのですが、
それがイギリスによって永続企業様式に変形され、
さらに現代ではパソコン仕様に組み込まれたことで
どんどん利用価値が増大しています。
それに伴い税理士もパソコンに絶対に
対応しなくてはならないようになりました。
今までは人手をたくさんかけないといけない仕事もパソコンの
クラウド会計ソフトで作業効率が10倍以上になることもザラです。
でもそれがわかってない税理士が多いのも現状です。
こうして複式簿記は過去の進化の過程をみると、
いつも他のなにか(活版印刷、株式会社、パソコンの発明)
に乗っかってウイルスのように進化しつづけているのです。
うち、活版印刷はほぼ絶滅しましたが宿主をパソコンに変え生き残っています。
そしてそれに感染しているのが税理士だともいえるのでしょう。
編集後記
久々に歴史の知識をコラムにできました。複式簿記は前から書こうと思っていた題材でした。
最近は睡眠をしっかりとっているせいかストレスがありません。
去年より暑くなるのが早いような気がしています。