最安のサービスを追求すると何が起こるか

究極的なサービス価格は0円

 サービスや物は安ければ安いほど良い、そういう考えを持つ人がいます。ユニクロが大躍進したのは品質の確かさもですが安さを強みにしたからです。この考えだと究極的な値段は一番安いゼロ円に落ち着くことになります。しかし果たしてそれが何をもたらすのか…、今回良いモデルケースがありました。

楽天モバイルの通信難民になった兄

 この3月までCMでさかんに楽天モバイルが1年間通話無料をうたってユーザーを囲い込みに入っていました。

 携帯電話の通信費は年間でどれだけ安くても数万円にのぼるため、魅力的に思った私は一度調べてみてました。その結果、楽天のオリジナルアプリによる無料通話は通話品質が悪いとわかりました。仕事では使うことは避けたほうが良いと判断しました。

 とそこへ、しばらくすると兄が楽天モバイルをメインの携帯として使うと言い出したので、通話品質が悪いからやめたほうがいいよとアドバイスしました。しかしもう、「無料だぞ!これ一択しかないっしょ。ここで節約して他で有効に使ってるから大丈夫」と聞きません。

 その数カ月後、突如兄の電話がつながらなくなり、慌てて解約し他社へ乗り換えたそうです。これは楽天が間借りしていたau回線から徐々に自前の回線に切り替えていったため、地方では通話が不安定になったためと考えられています。

 兄は医師で亡くなりそうな患者さんの担当をしているため、つながらないと非常に困るとのことでした。楽天モバイルにしてサービスを削るに削った結果、通話することができなくなったのです。無料、タダ、と引き換えに一番大事なサービスを受けられなくなる、本末転倒です。まさに「タダほど高いものはない」のよい例です。

税理士のサービスを削ると節税難民、給付金難民になる

税理士のサービスにも同じことが言えるのではないでしょうか。

 ちまたの税理士事務所で一番安いプランを利用していると給付金の情報や節税の提案を受けられなくなることが考えられます。

 そこで初めて、自分の税理士さんはそんなことを言ってくれなかったと言って騒ぐ人がいます。よくよく聞くとそんな人はえてして、最低限の価格でのサービスを希望してやってもらっている人が多いです。

 安いプランを利用している人の中には、自分に不足している、本当は受けたいサービスがあることを自覚していない人もいます。たとえば、ネットで調べてもそれが本当の情報かどうかわからない、じゃあ税理士の先生に聞いてみようとこまごまとした質問をよくする人です。税務署に聞かないといけないけどその前に税理士の先生に聞いて確認しとこう、も入ります。

 こういった質問に答えるサービスは、普通は決算のみ単体で請ける、などの最安のサービスには本来含まれていません。税理士に時間を使って調べて貰う、もしくは答えてもらうためにはそれなりのサービス料を払っていただかないと無料提供はできないのです。

 あまりに安さを追求すると上記の通信難民のような、節税難民、給付金難民になりかねません。節税難民になってることは本人が気がつかないケースもあるので要注意です。

まとめ

 東京都の時給は2021年10月から1,041円です。何を買うのも消費税が10%かかる世の中です。食材も日々値上げがニュースで流れています。そんな中、無料、タダ、安いサービスを追い求めることは時代に逆行しているのではないでしょうか。日本は高コスト社会に突入しているのです。

 「タダほど高いものはない」「安物買いの銭失い」がこれほど真実味を帯びてきた社会はありません。専門家に払うものはしっかり払うことで自分が本当にして欲しいサービスを受ける、これこそが結局はお金を上手く使っていることになります。

編集後記

 今日は最近起きた出来事を記事にしてみました。楽天モバイルのサービスははやくもほころび始めているようです。今後どうなるか見ものです。

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