人生の交差する決定的瞬間が来た時には

人は自分を納得させる理由を探している

 病院で働いていた頃の話です。医師が仕事上で無理な要求をしてきて、それに頭を悩ませていた上司の係長がいました。そこで彼から出た言葉は、「まぁ、でも彼らは試験を通ってるからね。しょうがないよね」と私に苦笑いしながら言ってきました。その時事務員の悲哀を見ました。と、同時に係長のようになってはいけない、俺はここで絶対に終わってはいけないと思いました。

大学の同級生からの感傷的な言葉

 関西で税理士受験予備校に通ってて、早稲田大学大学院に行くことになった時のことです。大学の同級生と会食した時に言われたのが、「そっかぁ、うちの大学からも上にいくのが出てくるんやなぁ。そういう時期なんやね、同級生でも…そうなるんやねぇ」とまるでもう手が届かなくなった存在のように言われました。

 彼にとっては今まで同級生で同じ立場でしたが、自分はこっから上に行くことはできなかったんだと言い聞かせているように感じました。彼は税理士志望者ではなかったのですが、この時の彼の感情は複雑です。一番近いのが自分は頑張れなかったけど、近くの友人が上に行くことで嫉妬心、羨ましい、仲間が減って寂しいといった感情でした。

 その友人は大学の時に「大学の勉強なんてしてもしなくても一緒、馬鹿らしい」と言って真面目に取り組んできませんでした。私はその姿を反面教師にしてきました。人生では小さな努力が積み重なって大きな差となり、ある日決定的な瞬間が来ます。

税理士志望だった人と遭遇した決定的瞬間

 とある会計事務所に入る時に入れ替わりに辞める人がいました。彼は歳は1歳上で当時36歳でした。その人と数日間一緒に仕事して仕事を引き継ぎを受けたのです。全然親しくしてはなかったんですが、聞けばその人はその事務所に4年間いて、奥さんと子供3人抱えて今から4人目が産まれようという人でした。

 広島市の修道高校という超進学校を出ていて税理士2科目もすぐに通ったそうです。そこで彼はその事務所に入る時に「給料はいりません。すぐに残りの試験に通るので」と所長に言ったらしいのですが、4年間合格科目なしに終わり、税理士を諦めて嫁さんの会社へ転職することになったのです。

 その彼からある日、「俺も大学院に行っとけばなぁ…税理士になれたのに…」と私に向けて言われたのです。私が大学院を出てるのを見て羨ましかったのでしょう。

 私が以前聞いていた大学の先輩のアドバイスとして資格取りたければ結婚しない、子供作らないの2つの禁じ手を彼は破っていたので、いくら優秀でも資格取れないのは当然だと思ったのです。その人からコイツ羨ましいという憎しみの目で見られ、なんで自分は資格が取れなかったんだという後悔、その二つの感情が入り混じったセリフを言われました。

 その時、ああこの人は完全に敗北を悟って去っていくんだな。今までの努力と苦労をふいにしちゃったんだなと自分が逆の立場でなくて良かったと思いました。税理士資格は計画性がないと絶対に取れません。

まとめ

 以上のことが過去を振り返ると決定的瞬間だと思いました。あの瞬間が最も人生交差点で人とすれ違って違う道に行く場面でした。その時かけられた言葉は忘れられません。この例から以下のことが言えます。

  • 自分の今の境遇を人のせいにしない。人をうらやむ、ひがむ人生を送らない。最初の係長のセリフからです。
  • 反面教師な人はどこにでもいる。それをバネに頑張るべき。2番目の友人のセリフからです。
  • 自信過剰に己を頼みすぎて無計画に資格を受けない。挑戦するからには絶対に失敗しない。安全策を二重三重にとること。3番目の無謀な挑戦者の失敗例からです。

 このように、人生には誰にでも決定的瞬間が何回か訪れます。その時に人をうらやむ側になるのか、それとも逆の立場になるのか、私は人をうらやむ立場にならなくて良かったと思っています。すべては普段の自分の行動が将来のその時に影響します。

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編集後記

 たまに今日の記事のことを思い出します。

 今日は地域猫を世話していた人たちと久しぶりに会えてホッとしました。せっかく知り合いになったのになかなか会えてなくて。またお話するのが楽しみです。

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