ひと昔前の税理士事務所の状態とは
ひと昔前まで、税理士事務所というのは事務所内に
顧客のファイルが満載されていて、ザ、事務所という
のが定番でした。
それは、税理士事務所の仕事柄、顧客から預かる資料が
膨大にのぼりそれを保管やファイリングすることで書棚がいくつ
あっても足りなくなっていたからです。
これは、顧客の数が増えれば増えるほど、無限に場所が
足りなくなっていくことを意味していました。
その結果、ファイリングする仕事や資料つづりを作る作業
に従業員は追われ、あっちこっちに資料が散在し、
どこにいったかわからないものまで出てくる始末でした。
しかも帳簿は7年間保管する義務があります。
これでは事務所の保管場所がいくらあっても
足りないのも無理はありません。
書類の電子データ化は進んでいる
ところが、会計ソフトや税務ソフトの進化にともない、
それらの申告書などが簡単にデータ化できるように
なってきました。税務署も電子帳簿保存法などで推奨しています。
それができるにもかかわらず、紙で打ち出してファイリングする
事務所も数多く存在します。
そういった事務所はえてして、所長が実際にパソコンを
さわってなかったりして、データ化がどういうものか
わかってないので、いつまでたっても控えの資料が
電子化されません。昔ながらの習慣が残っているのです。
顧客に渡す申告書の控えは電子データですむ
今まで申告書の控えを製本して顧客に納品する事務所が
ほとんどでした。ですが、これも電子データを渡すだけで
すみます。しかし、これをするのが結構勇気がいります。
なぜなら、納品する実物の物体がなくなるわけですから。
製本せずにすます=手抜き感がでる、そう思われる
のではないかと税理士がおそれるわけです。
中にはどうしても紙で欲しいという人も出てきます。
そういう時は、紙で一式を打ち出して、パンチ穴をあけて
そのまま渡して先方でファイリングしてもらいましょう。
いずれにしても、電子データで渡すことをそろそろ
しないと、いつまでたっても書類の山から脱出できません。
手間も暇もこんなところにかけてる場合じゃないのです。
顧客からしても製本化されたものを貰っても後でじっくり何度も
読み返すことはほぼないはずです。
税務申告書のチェックにはプリンターと紙は必需品
では、電子データで資料を保存することはいいとして、
実際に申告書作成の段階で紙に打ち出さずにすむのかどうか。
これは、絶対に紙に打ち出してチェックをしてください。
税務申告書というのは複数枚にわたって数字があっちこっちに
飛んでいる書類をチェックしないといけないので
パソコンやタブレットの画面上でやるほうが
非効率なのです。
紙に打ち出さずに申告書を作ったことがありましたが、
あとで見たらかなりチェックもれがあって顔面蒼白に
なったことがあります。
それをやる前に他の同僚税理士からも「紙に打ち出して
やったほうがいいですよ。そうしないと間違えますよ。」
と忠告をもらっていました。
案の定その通りミスって以来、絶対に紙に打ち出して
昔ながらのチェックを細かくしています。
仕事の効率化を求めてペーパーレス化をすることは必ずしも効果的ではない
このように、仕事をするときはプリンターを使って申告書を
打ち出してするのが王道となります。
たまに全部ペーパーレスをしていてプリンターすらないという
極端な事務所をみますが、いったい申告書のチェックはどうやって
いるんだろうと不思議でなりません。
申告書のチェックの段階ではいわば下書きの状態で、それを
紙と鉛筆でチェックする作業はどうしても必要になってきます。
タブレットでペン書き込み機能を使えばできるよ~
と言われそうですが、申告書の特性上、もう別表の数字があっち
こっちにいっているので、いちいちページをスクロールして
やらなければならずものすごい手間なはずなのです。
それやってると日が暮れます。
それよりかは申告書を紙で一式打ち出しておいてめくりながら
チェックしたほうが時間もずっと短くてすみます。
まとめ
下書きをしたものをチェックする仕事がある以上、
プリンターは税理士事務所からはなくならないでしょう。
完全なペーパーレス化は難しいということです。
逆にそれなしでやるほうが手間と時間がかかります。
顧客から預かる書類や、渡す申告書の控えは電子データで
すますほうが効率的にできます。
ただ、それを受け取る顧客の反応も慎重に見ながら
説明もつくした上で電子データで渡さないと
いけません。
中にはどうしても紙で欲しい人もいるでしょうから
そういう人には紙で提供しましょう。電子データで
も渡しますから製本はしませんよとか簡略化の方法は
いくらでもあるはずです。
仕事の効率化にペーパーレスというのは、
顧客に対してのことと自分がやる仕事のこと
で少し意味合いが違ってくるのです。
それを十分理解した上でペーパーレス化に取り組みましょう。