資格がないと人間扱いされないよ
大学卒業間際、大学院へ通ってきている社会人の方と話す機会がありました。その時、初対面にもかかわらず、同じ会計業界ということでいろいろお話していただきました。確かその方が当時29歳でした。
「今いる監査法人で30歳以下で税理士資格を取ってる人はいない。でも資格がないと人間扱いされないよこの業界は。資格を取るには結婚したら無理。子供が生まれたら絶望的」と言われ、業界と試験の厳しさを教えてもらいました。
その先輩はとある優良な地銀からの転向者でした。曰く、銀行員としてスーパーカブに雨の日も風の日も乗って外回りしたんだそうです。
ある時、取引先の社長と話をしてて、「税理士の先生からこれこれこういう提案を受けた」と言われたので、「社長、それ僕が前に言ったことじゃないですか」と言ったら、
「何をいう、税理士の先生が言うから信用できるんだ、お前たちの言うこととは違うんだ」と言われ悔しい思いをしたそうです。それはそうです、立場が違うだけで提案内容は一緒だったからです。
先輩いわく金融業界からの税理士転向者はかなり多いそうです。これは仕事柄外回りや中小企業とかかわるケースが多く、転向してもつぶしが効くことが大きいでしょう。
病院の封建制度を目の当たりにして
一方私は病院に就職して、若い女性研修医に対して深々とお辞儀をする中年の女性看護師長を見たことがあります。その看護師達は目下の事務員に対しては要求をかなり強く言ってきます。
ある時、事務職のトップの事務局長と飲み会に行くために外に集合してると、局長が激怒しているのです。何事かと思って聞いてみると「研修医や医者はなんで俺に挨拶せんのだ」とお冠でした。研修医やヒラの医者は事務局長の顔なんか知らないので当然なのですが、彼は自分の方が病院では立ち位置が上なので挨拶するべきだと固く信じていました。一方の医師達はたとえ事務局長の顔を知っていても事務局長の部下という認識がないのでした。
その時、これは一生こういう状態がつづくなと確信しました。事務職はヒエラルキーの最下層なのでそこのトップになったところで誰も偉いと思ってくれないわけです。ここから脱出するしか道はないと思いました。病院職員からの税理士転向者は見たことがありません。
専門学校での講師の激
ところ変わってある税理士受験予備校の中での授業中のこと。講師は貴方達はこの試験に受かるか落ちるかで先生になれるか、そうじゃなくタダの人のままで終わるかが決まるんだから心して頑張れ!と声高に叫んでいました。
ほとんど幕末、明治時代の下級武士のノリです。彼らも上級武士達の特権、身分制度に苦しめられて、松下村塾に入り、そこからの革命の原動力はやはりハングリー精神でした。西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允、この維新の三傑は皆下級武士出身で平時なら埋もれていた人材でした。
まとめ
転向者によく見られるのはハングリー精神が挙げられます。こんな環境、前近代的な身分制度みたいなところから一刻も早く抜け出したい、という反骨精神があり、それがエネルギーに変わっていることは間違いないでしょう。社会人経由で他業界からの税理士転向者はそういった理不尽な扱いを味わった人が多く、苦労人が多いことが特徴です。
編集後記
今回も土壇場で歴史の故事に絡めることができました。この味付けを絶妙にすることでブログは映えます。
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