上京独立という新しい生き方

再上京は可能なのか

 地方在住の税理士の人の中には大都市で勝負したいと思っている人もいると思います。かくいう私も2011年に一度広島県へ東京から移住しました。東日本大震災の影響でした。その時はもう東京に今後の人生で戻ることはないのだろうなと覚悟をしていました。

 その後とある事務所で社員旅行で東京に来た時に懐かしいな~と思いつつ、夜空に光る観覧車、高層ビル群を見ながら、もうここに帰ることはないんだろうなと思っていました。

 そんなある日、自分に独立話が持ち上がり、場所をどこにするかということになり迷わず東京に決めました。広島市で見てきたパターンとしてはお父さんが地方で会計事務所を経営していて、子供が会計士となって東京や大阪の監査法人で数年経験を積んで地元に帰るのが多く、逆に地方から東京へ出ていく人は皆無でした。再上京できるなんて人生わからないものです。

上京のメリット

 人口が多い、ということはそれだけお客様の数も多いことになり、仕事もたくさんあることを意味します。そこで開業することは規模の恩恵を受けることができます。税理士は立地で決まるというのを地方で見てきたので、中央区を選びました。最近でこそネットで遠隔地でも対応できますが、できれば立地は良いほうが立地にモノを言わすことができます。

 それと、広島でも営業や仕事でお客様対応した経験から東京にも必ず自分を必要としてくれるお客様がいるとの信念がありました。

上京のためのハードルは3つ

不動産物件

 これを決めるのが難航しました。都会の物件は良いものはあっというまに決まるので、実際に下見に3回ほど上京し、移動中に物件が抑えられることもあり苦労しました。不動産の慣習で内見は早い者勝ちとなっているので、地方から物件を見に行く、抑えるのは並大抵の努力ではありません。結局ここで半年の歳月を費やしました。

タイミング

 事務所移動のタイミングです。自分の仕事の全担当先を引き継ぎしないといけません。私は自分で開拓した顧問先は全部置いてきました。暖簾分けじゃなくて暖簾置きをしました。

集客リスク

 出てきたはいいけど、最初はゼロからのスタートになります。これは相当なリスク、精神的危機感を誰でも感じるのではないでしょうか。しかも見ず知らずの土地で地縁血縁なしの状態です。相当タフでないとやれないでしょう。移動前はあまりにも無謀な挑戦なのではないかと不安になったこともあります。実際に友人の税理士からは「やめとけ」と忠告されました。

 私は地方で飛び込み営業して顧客獲得をしていたので、むしろ営業先がわんさかあっていいと思っていました。その時は自分の飛び込み営業、対面営業の方法しか確立した営業手法はありませんでした。しかしこの成功体験が確固たる自信になって最終的な後押しをしました。

まとめ

 税理士は大都市対応型の資格です。お客様が多いところでやるのが有利となります。大学で上京したけど、やむなく地方に帰省移動してしまった人達は、再度上京独立を目指してみてもいいと思います。

 あまり先々のことを考えすぎるとチャレンジはできないでしょう。失敗するリスクなどが頭をよぎるとどうしても安全策を取ろうとするものです。そのためにも自分は営業タイプなのか、営業力を磨いてきたのか、が重要となってきます。それがあるとないとでは天地の差となってきます。執事の場合も東京で飛び込み営業等、さまざまな方法で打開していきましたので、突破力は培われていたんだと思います。

 上京独立に必要なのは、難しい仕事の経験、大規模案件の経験ではありません。大手税理士法人の経験もいりません。ただ営業経験のみが成否を分けます。それと、怒られたり失敗した経験があればあるほど有利です。

 今後も東京の経済一極集中化は崩れることはないと思います。今日のニュースでマンション価格が過去最高に高騰していたそうです。これはそれだけの需要があることを意味します。チャレンジする場所、時期を間違えては税理士資格は決して活かせません。それを言っている人を誰一人見たことがありません。

編集後記

 今回はそういう人もいるかもしれないと思って上京独立のお話をしてみました。実際に少数派ですが上京希望の人もいると思います。大学は都会じゃない人も、やる気さえあれば都会で勝負できる時代でしょう。

 

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