寿司職人の短期養成にみる改革
昨今、昔では常識であった寿司職人の修行という概念が壊されつつあるそうです。先日もテレビを見ていましたら、あるお店では安価な握り寿司を駆け出しの若い寿司職人が提供することで、修行の腕も上がるし、お客さんも安く寿司が食べられるとwinwinの関係にあると紹介されていました。
一般的には寿司は「飯炊き3年、握り8年」と言われており長期間の丁稚奉公が必要と考えられてきました。
それに対して長い修行や苦労によって得られた技術には価値があるとするのは単なる思い込みであって、安く寿司職人をこき使うという体のいい口実だとする意見もあります。
最近では実際に3か月で寿司職人を養成する学校もあるようで、そこでは最初から実践的な握り、さばく、目利きなどを習うそうです。そこを卒業した職人が開店した店が繁盛するケースがあるそうです。
税理士の修行の問題点
税理士を目指す人は専門学校に通って試験のためだけに学科の細かい部分まで教わります。
ところが仕事では基礎的なことを体系立てて教えてくれる学校のようなものはありません。突出した能力や大型案件をさばく能力は必要ないので、税理士として必要最低限のことを正確にできるにはどうしたら短期間でなれるか、それを一生懸命考えていました。
私は親方税理士から「本来ならお金をだして習得する技術をタダで教えてやっているんだから…(有難いと思え)」と言われたことがあります。本気で言ってるのかと耳を疑いました。
あとは番頭から「育てるつもりはない」「教える義務はない」なども言われたことがあります。そういう人たちが普通にいるかなり偏屈な業界です。
この業界、偏屈な化石頭の所長や、意地の悪いお局などが跋扈すると、修行のハードルは一気に高まります。そういう風潮になじめずにせっかく資格を取っても必要最低限の仕事が習得できずにそこで挫折している人を見たことがあります。
開業税理士の秘伝は門外不出なのか
よくラーメン屋さんなどがスープの配合、材料などを秘伝として教えないことで参入障壁を高くし、競合相手に勝つことが昔から行われていました。それを知るには弟子入りするしかないわけです。
ところが最近では上記の寿司職人養成専門学校などがあり、技術やノウハウが開放されています。教えないことによる既得権益の防衛よりも、ノウハウを周知することと引き換えに料金をとり、その後は自由競争という流れになりつつあるのです。
税理士の業界でも儲けている税理士が何をやっているか、開業して食っていくために営業はどうやっているかなどもいまだに開示が十分だとはいえません。今あるちまたの税理士向けコンサルはあまりにも明後日の方向を向いています。
税理士は営業やったことない、キライですという人も多いです。そういったことも体系立てて、これとこれとこれをやってこうするとはい、開業後3年は持ちますよといったマニュアルや育てる教育機関が全くないのです。
まとめ
寿司職人の養成学校ができて既存の古い寿司職人の価値観が破壊される様を見て、あ、これ税理士の業界も全く同じだと思いました。10年以上かけて実務で使わないようなことを延々と勉強して職場の修行は悲惨な環境ばかりです。
おそらく寿司職人と同様、開業税理士も量産型を大量生産するほうが、上手くいく人も多くなると思います。
こういう考えを発表するためのこういったブログをやっている税理士はおそらく全体の1%もいないと思います。開業税理士は量産型を作れば成功するといいながら、実はこのブログを書く執事税理士は限られたプロトタイプかもしれません。
編集後記
最近、鮭の醤油バター焼きが得意になってきました。
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