事務職で手柄を立てるには
私が病院事務職の時、ある先輩がやたらめったら駈けずり回って忙しそうに仕事をしていました。そのうちよその部署にも顔を出す始末。なんでそんなに忙しそうにするのかなぁと最初不思議に思っていたのですが、彼の魂胆にすぐに気がつくことになります。
文系の事務職というのは普通に仕事をしていると差がつきにくいのです。製薬会社みたいに新薬を開発したり、医師のように治療で患者を治し目に見える成果を出すことができません。成果が見えない分、誰が仕事ができるのかが非常にわかりずらいです。つまり事務職は仕事できると評価されるのは非常に難しい、となると…。
そう、彼は、自己アピールのためだけに職場内を駆けずり回っていたのです。だいたい見てたらすぐにわかります。こういう人間が存在するのかと唖然としました。
そして、あちこち手伝いまくって仕事を増やすと今度は後任の人(私)が通常よりも増加した仕事をさせられる羽目になるのです。はた迷惑きわまりません。出世したいのはわかりますけど、こうあまりにも目ざとい方法をとるのはどうなのかと思いました。
税理士事務所内での日報ピンポン合戦
ある会計事務所にいた頃の話です。そこでは日報を提出することが義務付けられていました。電子日報だったのですが、これが5分、10分刻みで何をしたか事細かに書けというものでそれを埋めるのが一苦労でした。それを書くためだけに作業時間をメモしてる人もいました。
そしてやっと仕上げて電子送信ボタンを押すと、しばらくすると驚くべきことにその内容をみた上司から返信がきています。「執事さん、この3時からの作業はなんでこんなに時間がかかったのですか、説明してください」とあります。その理由を考えてさらに送信をする、そしてやっと通る、というようなことが何回もありました。上司はそれを部下全員にやっていました。
他にも研修の報告を書くと「この講師はうちの所長と反りが合わない人なので、ためになったということは書かないように」と書き直しという変な注文がきました。
要するに事務所内部であたかも卓球をしてるかのように玉の代わりに文書のピンポン合戦が繰り広げられるのです。そこに生産性などひとつもありません。通常は日報というのは一回出したら終わりです。ただ単に上司が管理の仕事をしたいがためにやっていました。日報ですから毎日です、これをされるとたまりません。
まとめ
上記の経験談をご覧になって、組織内でいかに無駄な仕事をしている人がいるかがわかるのではないでしょうか。組織内部で仕事のための仕事を作っているのです。
ピンポン合戦の上司はまさに昔ソ連軍がやった督戦隊(とくせんたい)そのもの。督戦隊とは自軍の将兵が敗走しないように見張る部隊のことです。督戦隊は自分たちは矢面に出て敵と戦わず、後方にいて、ただ単に自軍の将兵のみを監視するだけの役目をします。敗走すると味方であっても攻撃します。なので軍隊内の鼻つまみ者でした。
公務員系事務職でも民間の会計事務所でもどっちも無駄な仕事をしてるのです。組織内で起こることは構造的なことなので避けることは不可能です。
しかし、自分が開業するとそういう余計な仕事はしなくてすみます。お客様のためだけに全力を尽くすことが仕事になるので、もう穴を掘って埋めるような無駄な作業はしなくていいのです。誰も見ないGoogleカレンダーに自分の仕事の予定を一生懸命入力してみたり、自己満足な仕事をするのはもうやめましょう。
税理士はきちんと価値提供できるかが重要になってきます。ひとり税理士に仕事を依頼すると組織の職員のように無駄な仕事で疲弊した人はいません。なのでひとり税理士は革新的な存在なのです。
編集後記
今回も歴史の逸話、小話を経験談に絡めて披露できました。最近は結構読書をしています。ノーベル賞の中村修二先生の「怒りのブレイクスルー」と「考える力 やり抜く力 私の方法」を読む予定です。
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