ビットコインはマネーロンダリングに有効か

マネーロンダリングとは

マネーロンダリングとは資金洗浄といい、古くから犯罪で得た収益を正常化するために行われてきました。

マネーロンダリングの工程は「預入、分別、統合」の過程をたどります。

古くはアメリカでアル・カポネの時代からギャングが禁酒法時代に得た資金を使ったと言われています。

また、ハリウッド映画の製作費は巨額にのぼり、ヒットするかどうかわからない投機的なものであったため、マネーロンダリング資金の格好の行き場になっていました。

これは映画がまとまった資金がいる事業で資金を募っても、リスクが高すぎて投資家が誰も進んで投資しなかったからです。

日本でのマネーロンダリング事件

つい先日、ソニー生命の社員が会社から横領した資金170億円を全額ビットコインに換金していたそうです。

個人でビットコインの口座を開設しそこへ送金してマネーロンダリングするプランでした。

この段階ですでに預入と分別の工程をクリアしています。

あとは売却して統合するだけだったのですが、FBI(連邦捜査局)に摘発されお縄になりました。

ところが、このビットコインが摘発までの間に価値が上がり、207億円返ってきたそうです。

結局ソニー生命に元本170億円返還、国がキャピタルゲインの37億円を没収することになりました。

犯人がビットコインに目をつけ、「ビットコインに換えたら(口座が)凍結されないと思った」と語るなど、最新の金融商品を使った頭脳派犯罪でした。

マネーロンダリングのコストと税率

もし摘発が遅れ、犯人が売却していたら雑所得として基礎控除と雑所得の控除が引かれた金額に45%の税率がかかっていました。

一般的にマネーロンダリングにかかる換金コストは25%であると言われています。

これは資金を預け入れたりする過程でどうしてもかかる手数料みたいなものです。

今回は20%オーバーしていますが、ビットコインがまだ法律が整備されていない新しい金融資産でバレにくいとの利点があったと思われます。

ソニー生命が運用する資金は5兆円に上ります。

個人が横領した資金としては大きいのですが全体からみればたったの0.34%と小さな金額なのでしばらくバレなかったと言えます。

日本のマネーロンダリング捜査と法整備

今回の事件もFBIに先を越されるなど、金融犯罪捜査能力は遅れていると言われています。

ビットコインに関しても法律の整備はまだ進んでいません。

法人は含み益に課税されますが赤字は10年繰り越されます。個人の場合は過年度の損失との損益通算はまだ認められていません。

人はいくらの資産があればいいのか

人はいくらお金があればいいのかは、TAC学院長によれば最大見積もって10億円が限界でそれ以上のカネは意味を持ちません。

1日10万円使ったとしても30年かかります。

ある大ヒットした漫画家の先生は3億円で十分だと言っていました。

今回犯人の「悠々自適な生活がしたかった」との弁。

彼は必要額のおよそ17倍を横領してしまったことになります。

自分が必要とする金額よりも大幅に横領してしまったため目立ってしまい足がつきました。

今回のケースは誰も損をせず、儲けた37億の金が全部国庫に入ったので、

犯人の横領の罪が逆に減刑されたり…はないみたいです。

犯人は横領はしたが意図せずに国家に多大な利益をもたらしてしまったという稀有な事件でした。

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編集後記

時事ニュースはとりあげないつもりですが、こういった珍事件や経済犯罪などは専門家の観点から解説してもいいかなと思って書きました。

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