テレアポや飛び込み営業はなぜ失敗するのか⑤

営業をする文化が根付いてない

 会計事務所というのは昔からある事務所であればあるほど、営業をしません。これは税理士が先生稼業であり、昔は紹介がメインで営業を全くしなくても客の方から依頼にきた時代があったことに起因します。たとえば証券最大手N証券などは新人に真っ先に営業研修をさせるそうです。それこそビルの上から下までくまなく訪問して名刺交換をさせてきます。営業体質の会社だからです。

 ところが、会計事務所では新人、ベテラン、番頭が営業する文化は皆無です。大中小の事務所別にみてみます。

小規模事務所

 ここはすでに安い顧客を大量に抱え込んでいて、入る新人には大量に作業メインの仕事を押し付けることが多く、領収書の整理、入力など事務仕事がメインになります。職員は夜遅くまでの作業に追われ、営業どころではありません。

中規模事務所

 ある程度の中規模の事務所になっても状態はかわりません。むしろ組織を維持する為に規則が多くなり、上司は新人の管理をしだします。ベテランになるほど内向きの仕事に追われ、営業はおざなりになります。よく見られるのが軍隊形式になってて規則が異常に厳しいところです。新人は決められた顧客に出向き、決まった仕事をキチっとすることが要求されます。新人は軍人になりセールスマンにはなりません。当然ながら営業力はつきません。

大規模事務所

 ここでも営業は経験できません。営業専門の部署を置いていたりしますが、自分が配属されない限り、営業はせずにすみます。たまに職員にノルマを課すところもありますが、職員のモチベーションは低くほとんど成功しません。

 したがって、どの規模の事務所に入ろうが、会計事務所では営業はしなくていいとされているので、独立寸前で慌てる人が多発します。10年~18年業界にいても、よその営業体質の会社の1年生以下の営業力という現実になります。さらに資格を取ることにより勘違いして余計営業しなくなる人が出てきます。

この業界特有の原因として以下の点が挙げられます。

所長が営業の重要性を全く理解していない

 昔からある格安路線の会計事務所は黙っていても安さに釣られてお客はやってきます。所長はそれを職員に割り振るだけなので営業の必要がありません。自分が担当するわけではないので、労働量に比較してその契約金額が安いか高いかも知りませんし、知ろうともしません。所長が月額1万円の契約で重労働の仕事を受けてきて割り振られた職員が激怒しているのを見たことがあります。

インセンティブ(報酬)が全くない

 ある会計事務所では職員がお客さんから他のお客さんを紹介されたにも関わらず、所長は全く手当などをつけなかったので、仕事だけが増えることになり、その職員は激怒していました。もう二度とうちの所長には紹介しない、そういう話があっても絶対に断ると言っていました。これも所長の営業意識の低さから起きた悲劇です。

所長との信頼関係がない

 これは長年いる税理士にはよくあることです。職員にとって自分の事務所ではなく所長の事務所です。人のところのお客さんを増やすにはそれなりの信頼関係が必要です。独立するつもりならなおさら、所長の為に営業活動しようなどとは思わないでしょう。また、信頼関係がない、仲が険悪な場合もたとえインセンティブがあったとしてもやらないでしょう。

まとめ

 こういう業界の体質から、そもそもテレアポや飛び込み営業はする前から成功は見込めないのです。しなくていい、とされているものをする人は誰もいません。しかし先々困るのは自分です。税理士としての実務経験は豊富で、知識も十分な人が独立して営業が全くできず、また勤め人に戻るのを数多く見てきました。私のように所属先と信頼関係がある場合じゃないと、営業する環境がない人が多いと思います。しかし、そうであっても、知恵を絞って状況打破を目指しましょう。

編集後記

 コロナ患者が今年最少の1日50人だったそうです。一方オーストラリアでロックダウンが実施され、ドイツやイギリス、アメリカでも猛威を奮っているそうです。このアンバランスさは不思議ですが、このまま収束して欲しいものです。

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